北日本病害虫研究会年報
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保温折衷苗代と水苗代に於ける稻小粒菌核病の發生調査
工藤 三郎渡部 茂
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1955 年 1955 巻 Special2 号 p. 46-51

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抄録

(1) 本調査は昭和26年及び27年の2カ年に亘つて水苗代と保温折衷苗代で育苗した稻につき小粒菌核病の發生を比較調査したものである。
(2) 品種毎の調査に於ては昭昭26年度12品種, 昭和27年度13品種を供用したが, サヽシグレ (昭27, 水苗代3.6%, 保温折衷苗代3.5%) を除いた他の品種は何れも保温折衷苗代區の方が水苗代區に比して本病の發生が多かつた。
(3) 播種期, 挿秧期を違えて本病の發生を比較した結果, 播種期, 挿秧期の相違の如何にかゝわらず, 何れの場合も保温折衷苗代の方が著しく多發していた。播種期挿秧期の移動によるその間の發病差は統計處理の結果有意差が認められない。
(4) 繼續的に葉鞘の菌核形成を調査した結果, 保温折衷苗代の方が多く収穫期に至つて急激に増加して來る。
(5) 病斑の擴大進展に關する調査に於ては
a. 各調査期を通じ病斑は水苗代に比し保温折衷苗代の方が大きい傾向を示し, 同苗代に於ては4月20日播種區よりも4月10日播種區の方がその傾向が大であつた。
b. 水苗代及び保温折衷苗代共時期別病斑の大いさは一進一退の状態で一定の進展度を示していないがこれは初調査以降同一株について毎回調査することが困難で, 調査の都度材料を換えたこと, 及び被害葉鞘の枯損, 消失等によるものと思われる。

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