北日本病害虫研究会年報
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1955 巻, Special2 号
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  • 中川 九一, 角間 文雄, 熊田 総一, 遠藤 昭二, 太田 六郎, 遠藤 正, 川島 嘉内, 菅野 登, 徳永 友三, 白坂 信己
    1955 年 1955 巻 Special2 号 p. 1-8
    発行日: 1955/01/30
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    本縣の保温折衷苗代についてみるに, 葉イモチ病では通常の場合發病が少くなる傾向が見られるが, 同じ保温折衷苗であつても昭和27年の如く, 氣温上昇してからの苗代日数短く促成された苗では日数短縮程次第に發病を増し, 却つて普通水苗代より發病が増加することが見られる。保温折衷育苗上のこの様な條件は, 苗の素質への或種の影響があつたことが考えられるのであつて, 出穗期にも相當の遅延が見られたことであつた。葉イモチ病に對する強弱については可なり種々の意見が間かれる様であつて, 本縣では過肥の保折苗, 除紙時期の遅れた保折苗等に發病が多いことが實際に認められているが, 同じ保折苗でも更に細かく検討すると, 育苗技術の相異が体内素質へ様々な影響を齎らし, 前記試験にも見られる様な結果を招くのではあるまいか。
    同じ様にして穗頸イモチ病について調べたところでは, その強弱につきはつきりしたことは認め難かつたが, 昭和28年の冷害氣象下での多くの觀察では, 大体に於て穂頸イモチ病は保折苗に少なかつた。
    小粒菌核病は早播による保折苗の生育の進んだ試験區では發病率が増加しているのは苗の老化が早かつた爲であろう。
    次に害虫の關係についてみるに, 苗代期では殆んど何れの害虫も保温折衷苗代に發生が多いが, 殊にニカメイチユウ並にイネヒメハモグリバエでは發生が多い様であつて, 昭和27年の成績では保温折衷苗の早播になる程發生が多い。イネヒメハモグリバエの發生が著しく多いのは成虫の飛來が早いこと, 産卵に適する曝露期間が長いこと等が考えられ, 岩手, 秋田地方でイネハモグリバエについて認められていることゝ一致するのは興味深い。
    イネドロオイムシは苗代では明瞭でない様である。
    本田での害虫相の相異はやはり顯著に認められ, 本場, 白河等の平坦地方では保温折衷苗には, ニカメイチユウ1化期では可なり明かに多發するのが見られ, 更に栽植様式では一般に正方形植に被害が多いことが認められた。即ち早播正方形植が最も被害率が高い。2化期では, 元來その發生が少い事情もあつて, 之等の關係はこの時期では不明瞭なものとなつてしまう。
    イネドロオイムシは發生の少い平坦部では明かでないが, 會津山間の常習發生地方では常に保温折衷苗に多かつた。イネヒメハモグリバエは昭和27年試験では遅播保温折衷苗 (5月10日播) は發生多く, 水苗代 (4月20日播) は保折早播區 (4月20日播) と遅播區の中間程度であつたが, 昭和28年の冷害下では, 縣下各地に於て水苗代は少く保温折衷苗に發生が多いことが認められた。
    其他の害虫ではフタオビコヤガ, ツマグロヨコバイ等が概して保折苗に多い様である。
    以上の如く保温折衷苗は, 苗の初期生育が旺盛の爲め諸害虫の目標となり, その蝟集を受け易く, 苗代期より害虫の發生が多い。又本田移植後にあつても同様のことがある爲め, ニカメイチユウ, イネヒメハモグリバエ, イネドロオイムシ等による虫害を蒙り易い。葉イモチ病では前記の如く, 管理の條件がよければ抵抗力が強いが, 之を誤ると逆に水苗代よりも弱い場合を生ずる様であつて, 此点については本縣の如く葉イモチ病の相當多發生する地方ではもう一歩研究を必要とする様であるが, この様な病害虫の發生が保温折衷苗代に伴い易いことは當業者がよく認識し, 藥剤防除等による對策について常に用意がなければならない。恰も蔬菜類の温床育苗に病害虫の發生が多く, 常にその防除について努力すると同様, 保温折衷苗代も只慢然と行うのでなく, 病害虫多發生の傾向に鑑み, 常にその防除を實行してこそ愈々その眞価が發揮されるものと考えられる。
  • 岡崎 勝太郎, 仲野 恭助, 花岡 岩雄
    1955 年 1955 巻 Special2 号 p. 9-15
    発行日: 1955/01/30
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 菅原 寛夫, 大森 秀雄, 大矢 剛毅
    1955 年 1955 巻 Special2 号 p. 16-26
    発行日: 1955/01/30
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    (1) 第1化期羽化成虫のhostへの飛來はマコモ, 保温折衷苗代, 普通水苗代の順に遲くなるが, これはhostの開葉時期 (稻苗の場合は少くも本葉2.5葉以上) の大きさに左右せられる。即ち羽化初期は未だ稻苗が開葉せぬのでマコモのみに集まり, 次いで順次苗令が平均2.5葉以上になつた苗代へ集つてくる。保温折衷苗代は一般に生育が進むので成虫飛來も早い。
    (2) 一般に保温折衷苗代のように早く飛來をみた苗代においては, その最盛期が早く來る傾向がある。これは後期におい出保温折衷苗代の方が輻射熱が高くなり不適環境を作るので成虫は普通水苗代の方に多く, 集るようになる。即ち, 保温折衷苗代では後期減退期が早く來るためにその最盛期のpeakが早まる結果となる。
    (3) 第1化期における分布先端地の實態調査の結果は明らかに保温折衷苗代の方が寄生量が多かつた。即ち舐食痕数, 産卵数, 幼虫数, 蛹数及び成虫掬取数共にこの傾向が顯著であり, たとえ播種期が普通水苗代よりも晩くとも保温折衷苗代の方に寄生が多い場合が多かつた。しかし播種期が晩くとも苗の生育が水苗代より進んでいる場合が多く, 結局苗の進んでいる方に多く寄生するという現象がみられた。
    (4) 播種期を同じにした兩苗代の苗につき, 各葉位別に寄生量を比較した處, 下位葉位 (3~4位) において却つて普通水苗代の方が多い場合もあるが, この現象は一般にこの虫が新葉に多く産卵する習性があり, 産卵最盛期に普通水苗代の新葉が保温折衷苗代のそれよりも下位にあつたためかと考えられる (苗令に1葉の差がある)。
    (5) 曝露期間を同じにした兩苗代苗を夫々接近せしめその寄生相を比較したが, やはり保温折衷苗代萬の方が, 一定面積當でも, host 1個体當でも, 1葉當でも, 常に多く寄生していることが明らかである。これを苗の形状と比較するに, 葉数の多い程, 草丈の高い程多い傾向がみられるが, これは寄生の場の面積 (葉の面積) と比例する。この様な現象は産卵粒数が1化期初期は1葉1卵に規定され, その後hostの生長と共に1葉数卵まで増加してゆく傾向と同じように考えられる。
    (6) 第2化期においては挿秧期及び施肥量を變えてその寄生量を比較したが, 兩苗代苗の差は特に顯著ではなく, 單に葉数の多い株程寄生量が多くなる傾向は認められた。兩苗代の差が1化期の様に認められぬのは虫に對する曝露期間が同一であり, 且つ挿秧直後で株間の室間も大きく特に微細氣象的な差は少ないためと考えられる。
    (7) 從來岩手縣の北部地帯に於いては本虫の發生は殆んど認められなかつたか, 或はマコモにのみ局限せられていた。これは苗代播種期が一般に極めて晩いために羽化期に未だ苗が適當の大いさにならなかつたためと想像せられる。最近保温折衷苗代が普及され縣北地帯の播種期が一般的に早くなつてきたが, これと平行的に本虫の發生も漸次認められ, その密度を増してきている。今後各地帯の環境要素の檢討と相俟つて本虫の分布の予察を確立する必要がある。
  • 赤平 麓郎
    1955 年 1955 巻 Special2 号 p. 27-30
    発行日: 1955/01/30
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1. 苗代樣式の相違による害虫發生と加害について述べた。
    2. 保温折衷苗代普及による今後の害虫發生密度竝びに分布の關係について考察した。
    3. 兩苗代樣式の害虫發生相違の一要因として苗の生育促進そのものを強調した。
    4. 今後苗代樣式を考究するに當り, 品種の抵抗性の問題竝びに栽植樣式による改善工夫を要望した。
  • 小笠原 且美, 渡辺 勇三
    1955 年 1955 巻 Special2 号 p. 31-40
    発行日: 1955/01/30
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 井口 真造, 伊藤 春男, 渡辺 雄幸
    1955 年 1955 巻 Special2 号 p. 41-45
    発行日: 1955/01/30
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    (1) 保温折衷苗代と稻馬鹿苗病發生との關係について圃場調査, 圃場試驗及び接種試驗を行つた。
    (2) 圃場調査の結果, 保温折衷苗代には稻馬鹿苗病の發生が多い傾向を認めた。
    (3) 圃場試驗及び接種試驗の結果, 保温折衷苗代では士壌濕度よりも土壌温度が馬鹿苗病の發生に大きく影響するので, 水苗代, 陸苗代及び折衷苗代よりも發生が多くなる傾向を認めた。
    (4) 圃場試驗の結果, 保温折衷苗代に使用する焼籾殻が接種源となる可能性は少いように考えられる。
    (5) 種子消毒後の病原菌再接種, 種子消毒の方法と効果などについて, 更に檢討する必要を認めた。
  • 工藤 三郎, 渡部 茂
    1955 年 1955 巻 Special2 号 p. 46-51
    発行日: 1955/01/30
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    (1) 本調査は昭和26年及び27年の2カ年に亘つて水苗代と保温折衷苗代で育苗した稻につき小粒菌核病の發生を比較調査したものである。
    (2) 品種毎の調査に於ては昭昭26年度12品種, 昭和27年度13品種を供用したが, サヽシグレ (昭27, 水苗代3.6%, 保温折衷苗代3.5%) を除いた他の品種は何れも保温折衷苗代區の方が水苗代區に比して本病の發生が多かつた。
    (3) 播種期, 挿秧期を違えて本病の發生を比較した結果, 播種期, 挿秧期の相違の如何にかゝわらず, 何れの場合も保温折衷苗代の方が著しく多發していた。播種期挿秧期の移動によるその間の發病差は統計處理の結果有意差が認められない。
    (4) 繼續的に葉鞘の菌核形成を調査した結果, 保温折衷苗代の方が多く収穫期に至つて急激に増加して來る。
    (5) 病斑の擴大進展に關する調査に於ては
    a. 各調査期を通じ病斑は水苗代に比し保温折衷苗代の方が大きい傾向を示し, 同苗代に於ては4月20日播種區よりも4月10日播種區の方がその傾向が大であつた。
    b. 水苗代及び保温折衷苗代共時期別病斑の大いさは一進一退の状態で一定の進展度を示していないがこれは初調査以降同一株について毎回調査することが困難で, 調査の都度材料を換えたこと, 及び被害葉鞘の枯損, 消失等によるものと思われる。
  • 徳永 芳雄, 古田 力, 下山 次男
    1955 年 1955 巻 Special2 号 p. 52-61
    発行日: 1955/01/30
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    保温折衷苗代による育苗が水苗のイモチ病發生に如何なる影響を與えるか, 又播種密度や苗代日数により如何に變化するかを知るために秋田縣平坦地に於て最も普偏的な早播早植を對象として水苗代育苗による普通植とイモチ病耐病性を比較檢討した。その結果保温折衷苗代育苗の稻は水苗代のものに比し發病多いことを知つた。葉イモチ病については稻の体内成分, 特に窒素, 珪酸等の含量, 珪化細胞数等から耐病性の低いことが裏付けされた。又保温折衷苗では移植期が遅れると發病が著しく増大する。このような秋田縣平坦地に於ける成績は保温折衷苗の諸特性から考えると, 氣象, 土壌の環境を異にする場合は異る結果を生ずることが予想される。
  • 加藤 陸奥雄
    1955 年 1955 巻 Special2 号 p. 62-63
    発行日: 1955/01/30
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 徳永 芳雄
    1955 年 1955 巻 Special2 号 p. 64-65
    発行日: 1955/01/30
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 1955 年 1955 巻 Special2 号 p. e1a
    発行日: 1955年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 1955 年 1955 巻 Special2 号 p. e1b
    発行日: 1955年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 1955 年 1955 巻 Special2 号 p. e1c
    発行日: 1955年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 1955 年 1955 巻 Special2 号 p. e1d
    発行日: 1955年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 1955 年 1955 巻 Special2 号 p. e1e
    発行日: 1955年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 1955 年 1955 巻 Special2 号 p. e1f
    発行日: 1955年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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