北日本病害虫研究会年報
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馬鈴薯・トマトの疫病に対するストレプトマイシン剤の防除効果について
桜井 義郎関沢 博狩野 精司
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1958 年 1958 巻 9 号 p. 191-197

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抄録

1. 圃場においてストレプトマイシンーサルフエートを主成分とするヒトマイシン (1cc中5万単位) 200倍液を散布した区では顯著に馬鈴薯の疫病を防除し得た。その効力は従来の銅剤にまさる。
2. トマト苗を使用したポツト室内試験でストレプトマイシンーサルフエート, ヂハイドロストレプトマイシンおよびヒトマイシンの疫病防除効果を検討した結果, これらストレプトマイシン剤の防除力が認められ, 特にヂハイロストレプトマイシンおよびヒトマイシンがすぐれた防除効果を示した。
3. ストレプトマイシンを含有する培養基上においては2.5~5γ/ccくらいから疫病菌の生育が抑制される。しかし, 500γ/ccの高濃度の培養基上でもなおわずかに生育することが認められる。
4. ストレプトマイシン含有懸滴中の疫病菌遊走子嚢の発芽はストレプトマイシンの濃度が高くなるにしたがつて抑制されるが, 1000γ/cc中でもわずかに発芽がみられる。
5. 以上のことからストレハマイシンは疫病菌を殺菌する方向に働くと考えるより, むしろ植物体に作用して本病に対する抵抗性を増加さすものではないかと考えられる。

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