北日本病害虫研究会年報
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早植栽培と稲紋枯病発生との関係
渡部 茂工藤 三郎
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1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 17-21

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抄録

1. 本報告は1957年および1958年に実施した早植栽培と稲紋枯病発生との関係について1, 2の実験した結果を記述した。
2. 1957年は早植栽培と普通栽培で本病の発生経過について比較調査した。それによると圃場における発病程度は全般的に低く, 発生の初期には明かな差異はみられなかつたが, 後期になると被害茎率, 被害度とも早植栽培区が高かつた。
3. 1958年は蔓延初期と最盛期にビニル幕で稲株を包囲して高温湿度処理を施して早植, 普通植両区の発病状況を調査した。その結果, 無処理では早植区が被害茎率, 被害度とも普通植区よりやや高かつた程度であるが, この温湿処理を行つた場合は早植, 普通植区とも発病程度が高かつた。処理時期別では, 前期処理では早植区は処理直後から被害茎率, 被害度の増加がみられたが, 普通植区では増加がみられない。後期処理では早植, 普通植両区で被害茎率, 被害度が増加した。総じて早植, 普通植区とも前期処理より生育の進んだ後期処理の場合に増加の程度が大であつた。
4. 蔓延初期に株間, 茎間の微細気象を調査した結果, 気温では地上5・20cmとも昼間は普通植区が高く, 夜間は早植区が高い。昼夜の較差は普通植区が大であつた。
5. 水温は昼夜とも普通植区が高かつた。
6. 湿度は昼夜とも早植区の方が高かつた。また, 地上5・20cmでは5cmの方が常に高い結果を示した。昼夜の較差は地上20cmの場合で大であつた。
7. 晴天日と曇天日で比較すると, 最高気温は晴天日15時, 曇天日12時に記録された。また, 湿度も晴天日15時, 曇天日12時に最低値が記録された。この傾向は地上5・20cmとも同様であつた。

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