北日本病害虫研究会年報
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水稲早植栽培と紋枯病
小林 次郎三浦 竹治郎
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1960 年 1960 巻 Special5 号 p. 22-26

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抄録

1. 早期栽培と普通栽培における紋枯病の発生状況を調査比較した。
2. 初発生時期については, 両栽培間に差異なく, ほぼ同時期に認められた。これは気温が制限因子となつていたためと考える。
3. 初発生後の病勢進展は収穫期まで早期栽培に著しく, 被害度も高い。
4. 初発生後, 病勢ははじめゆるやかに, のち急激に進展する。この進展開始時期は早植栽培が普通栽培より早い。とくに, 急激な進展時期は両栽培ともに穂孕期以降にみられた。
5. 出穂前, 早植栽培に発病が多いのは発病株率, 株内発病茎率ともに高い綜合結果である。
6. 普通栽培の病勢が株内においてその後急激に進み, 収穫期には早期栽培とほとんど差異がみられなくなる。したがつて少くともこの発病株内の観察からは両栽培における出穂以後の発病差が西南暖地でいわれるところの気温低下によるものとは考えられない。
7. この出穂以後の発病差は現象的には発病株率の差異によるものではあるが, これについてはなお検討を要する。

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