北日本病害虫研究会報
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盛岡におけるシロシタヨトウの生活環
奥 俊夫
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1980 年 1980 巻 31 号 p. 135-137

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抄録

シロシタヨトウは, 年2世代を経過し, 秋冬期に相当する短日条件下で冬眠蛹, 初夏に相当する長日条件下で夏眠蛹を生じる点でヨトウガに類似し, 行動習性にも類似点が多い。しかしヨトウガと異なり, 低温処理しなくても冬眠は消去される。また盛岡では, 成虫誘殺盛期の間隔は, ヨトウガの約50日に対し, シロシタヨトウでは約75日である。この差は, シロシタヨトウの非休眠発育期間がやや長いことにもよるが (各ステージ合計約10日), それを考慮してもなお15日の食い違いがある。この地方のヨトウガは, 潜在的には夏眠性を有するが, 野外ではほとんど夏眠が発現しない 。そこで, 上記の約15日の食い違いは, シロシタヨトウの第1世代蛹が平均15日内外の休眠期を経過することによって生じると考えられる。なお, 三重県では, 夏期に約2カ月の長期にわたって本種の成虫が姿を消すが, この事実は, 温暖地における本種の夏眠期が非常に長いことを示唆する。

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