1985 年 1985 巻 36 号 p. 41-44
1981-'84年にムギ類アブラムシ類の発生実態と主要品種における発生消長調査を実施した。オオムギとコムギに発生したアブラムシはムギヒゲナガアブラムシとムギクビレアプラムシの2種類であった。オオムギでは発生が非常に少なかったが, コムギでは発生が多く, 年次変動が大きかった。アブラムシ類の発生は出穂以前の茎葉ではきわめて少なく, 出穂以降に穗に多数寄生した。発生ピークは出穂後3-4半旬目に現われ, その後は急激に減少した。テントウムシ類, ヒラタアブ類の捕食性天敵はアブラムシ類の発生ピーク時またはそれ以降に発生が増加したが, アブラムシ類の増殖を抑えるほどの発生量ではなかった。アブラムシ類の1穂当たり平均寄生虫数と寄生穂率の間には高い正の相関が認められ, 寄生穂率による審生密度の推定が可能と考えられた。