抄録
キャベツ萎黄病菌の病原性喪失株を培養し, そのろ液にキャベツ苗 (3葉期) の根部を浸漬して滅菌土壌に移植したところ, 葉の萎ちょう, 葉肉部の脱水, 葉脈の白色~褐色え死などの症状が移植1日後に現れた.その後, 重症株では茎や葉柄が軟化して折れ曲がり, 株全体が萎ちょうして枯死した.これらの症状は根部を培養ろ液に2時間以上浸漬すると明瞭に発現した.培養ろ液の活性は, ショ糖加用ジャガイモ煎汁液体培地よりもCzapek液体培地で培養した場合に強く現れた.その活性は100℃, 30分間の熱処理や限外ろ過でも失なわれなかった.液体クロマトグラフィ分析により, この活性はフザリン酸に由来すると推定した.