抄録
地上液剤少量散布によるテンサイの葉身への薬液付着特性とテンサイ褐斑病の防除効果について検討した.水平面に設置したテンサイの葉身に対する面積当たりの薬液付着量は, 慣行の100l/10a散布と比較して, 25l/10a少量散布の方が少なかったが, 慣行散布と同一の成分投下量となる希釈倍率で換算すると, 有効成分の単位面積当たりの付着量は, 少量散布の方が多くなると考えられた.一方, 圃場で生育中のテンサイに蛍光剤の水溶液を散布し, その付着状況をみると, 薬液の付着面積率は下位葉, 中位葉および上位葉ともに少量散布の方が慣行散布に比べ少ない傾向にあり, 特に上位葉では他の葉位と比べて, 慣行散布と少量散布との差が大きかった.しかし, 中位葉以下では, 散布薬液の濃度を考慮すると, 有効成分の付着量は慣行散布と比較して劣らないと考えられた.さらに, テンサイ褐斑病に対する少量散布の防除効果を, 慣行散布で登録のある殺菌剤を用いて検討した結果, 供試した2薬剤とも各薬剤の慣行散布と比較してほぼ同等の効果と判断された.