2006 年 2006 巻 57 号 p. 200-202
モモシンクイガの卵を‘さんさ’, ‘つがる’, ‘ニュージョナゴールド’, ‘王林’, ‘ふじ’の5品種の果実に接種して, 収穫時における被害様相を調査した. その結果, ふ化した幼虫の食入を確認した果実は, (1) 幼虫が老熟ステージまで発育して脱出した被害果, (2) 幼虫の脱出口はないが果実表面または内部に幼虫の潜行痕のある被害果, (3) 被害果とは判断できない果実 (健全果) に区別された. 各品種とも, 40%以上が健全果であり, ‘ニュージョナゴールド’ で被害果率が低く, ‘王林’ で高かった. また, 幼虫脱出率も同じような傾向が観察された. 以上より, 本種の幼虫は樹上の果実内で必ずしも発育を完了することはできず, そのため, 主要品種の果実に幼虫が食入しても必ずしも被害とはならないことが判明した.