北里大学一般教育紀要
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原著論文
法学と言語学の接点としての商標言語学 -「エスカレータ」の普通名称化を例に-
五所 万実中村 文紀
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2020 年 25 巻 p. 1-20

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抄録

 本稿は、法領域において問題となる「商標の普通名称化(trademark genericization)」という意味変化現象について、言語学の立場から理論的考察を試みる。普通名称化とは、例えば、エスカレータや正露丸のように、もとは商標であったことばが、その商品カテゴリを指す一般名称となり、商標として機能しなくなる現象をいう。本稿では、一般的な言語現象でもある商標の普通名称化を、米国において普通名称化したと法的に判断されたエスカレータの事案を題材に、構文文法(Construction grammar)や使用依拠モデル(Usage-based model)という言語知識に関する理論モデルを用いて分析する。法学と言語学の接点を探る中で、法実務に限らず、言語学にも新たな知見をもたらす「商標言語学(Trademark Linguistics)」とも呼べる研究枠組みの可能性を探る。
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