2017 年 65 巻 11 号 p. 348-353
本特集第3回では全電化衛星である技術試験衛星9号機に関して紹介した.本稿第4回では,日本の大学を中心としたホールスラスタ研究開発コミュニティにおける,独自性のあるホールスラスタ研究の状況を概観する.欧米各国において大電力電気推進機の開発が積極的に行われるなか,日本の大学はAll-Japanの研究協力体制のもと,独自性のあるホールスラスタシステムを開発するべく,RAIJINプロジェクトを発足させた.このプロジェクトにおいて,次世代の全電化衛星バスシステムをターゲットとして,5 kW級ホールスラスタRAIJIN94が開発された.性能試験の結果,RAIJIN94は同程度の電力レベルの海外企業製ホールスラスタに比肩する性能を達成した.今後試験設備の充実化とともに周辺研究の醸成が進めば,RAIJINプロジェクトにおいて,さらに独自性が高く競争力のあるホールスラスタシステムの開発が見込まれる.