2017 年 65 巻 6 号 p. 171-177
近年,流体構造連成現象に対する数値解析手法の発達に伴い,主に惑星着陸機の減速に用いられる超音速パラシュートの研究は,新たな局面を迎えている.従来の超音速パラシュートの設計は,バイキング火星探査計画を端緒とする過去の研究の遺産に依存していたため,パラシュートのサイズや形状を変更した場合の設計指針は明らかでなかった.ところが近年,数値解析手法の発達と並行して,風洞実験においてもモーション・キャプチャ技術などの計測技術が発達し,計算・実験を定量的に比較することが可能となり,精度の高い数値シミュレーションが実現しつつある.本稿では,超音速パラシュートに関する名古屋大学の取り組みを紹介するとともに,今後の展望を解説する.