日本航空宇宙学会誌
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特集 大電力電気推進が拓くオール電化衛星 第5回
オール電化衛星向けホールスラスタの開発状況
船木 一幸張 科寅佐野 伊彦深津 敦田代 洋輔椎木 泰三中村 陽一郎
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2018 年 66 巻 11 号 p. 346-351

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抄録

3~6トンの中型から大型の静止衛星市場では,衛星推進系を電気推進にて運用する「オール電化衛星」の利用が急速に拡大しつつある.宇宙航空研究開発機構(JAXA)技術試験衛星9号機(ETS9)プロジェクトチームでは,大型衛星の軌道遷移と軌道保持の双方に利用可能な大型ホールスラスタシステムの開発を実施している.本稿では,ETS9搭載ホールスラスタの開発状況について報告する.最新のブレッドボードモデルスラスタは,6kW入力における初期インターフェース性能(推力359mN・比推力1,710s)を上回っており,オール電化衛星用ホールスラスタとしては世界最大の出力を誇る.また,軌道遷移等に必要な長期間動作時の特性は,新設のホールスラスタ開発試験用チャンバ(DTチャンバ)で実施中の予備耐久試験で確認中であり,累積作動は1500時間に達した.これらの成果を踏まえて,2018年度はスラスタヘッドを含むサブシステムの基本設計が進捗しており,フライトに向けて精力的な開発が進んでいる.

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© 2018 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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