2019 年 67 巻 6 号 p. 201-207
航空機構造設計技術は,事故の教訓に基づく安全要求の高度化,構造材料の改良,製造技術の進歩,解析技術の進歩によって着実に進歩してきた.構造解析技術について見てみると,電子計算機のめざましい進歩と有限要素法によって計算の高精度化と高速化が進んだ.しかし,強度理論について見てみると,ラグの強度理論や張力場理論を見るとわかるように60年間あまり変化していない.ここでは構造解析技術の現状を振り返り,今後の構造解析技術の発展に期待することについて筆者の私見を述べさせていただきたい.本稿は2018年8月に開催された「第60回構造強度に関する講演会」の特別講演の内容に基づいている.