日本航空宇宙学会誌
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特集 HTV搭載小型回収カプセルの挑戦 第1回
HTV搭載小型回収カプセル実証機の開発とミッション結果概要
田邊 宏太渡邉 泰秀今田 高峰宮崎 和宏中村 涼升岡 正
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2020 年 68 巻 5 号 p. 135-141

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抄録

HTV搭載小型回収カプセル(HSRC)は,宇宙ステーション補給機HTV「こうのとり」に搭載して国際宇宙ステーション(ISS)から実験試料(サンプル)を回収するために開発された再突入・回収機である.バンク角を制御し揚力の垂直/水平成分を変えて目標範囲に誘導する揚力誘導制御技術,国産低密度アブレータにより再突入時の高温環境から機体を防護する軽量熱防護技術,そしてISSからのサンプル回収技術の獲得を開発目的としている.基本設計着手以来,約5年の歳月を経て開発されたHSRC実証機は「こうのとり」7号機(HTV7)に搭載され,2018年9月23日,種子島宇宙センターから打ち上げられた.同年11月11日,ISSで生成されたタンパク質結晶等のサンプルを搭載したHSRC実証機は,大気圏に再突入し南鳥島沖の海上に着水,回収され,我が国初となるISSからの物資回収に成功した.本稿では,特集「HTV搭載小型回収カプセルの挑戦」の導入として,HSRC実証機の開発経緯とミッション結果の概要を紹介する.

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© 2020 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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