2020 年 68 巻 5 号 p. 142-148
我々は,国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」の船外簡易取付機構(ExHAM)を利用し,次世代宇宙機への搭載を目指して開発している放射率可変素子,多層膜型熱制御フィルムなどの高機能熱制御材料の耐宇宙環境評価試験を実施している.本実験では,1~3年間,高度約400 kmを飛翔する国際宇宙ステーションの軌道環境に上記の熱制御材料を曝露し,紫外線,放射線,熱サイクルを原因とする劣化について,曝露前後の熱光学特性などを測定することによって評価を行う.高機能熱制御材料は,一般的な熱制御材料と異なる材料,構造,原理を使用していることから,軌道上での劣化現象が従来の熱制御材料とは異なる可能性がある.そのため,曝露後の試料を回収することによって劣化状態を直接確認することはたいへん有効な方法である.本稿では,今回の曝露試験の概要と試験に供している高機能熱制御材料について紹介する.