2020 年 68 巻 8 号 p. 243-249
国際宇宙ステーションISSからの物資回収をおこなうHTV搭載小型回収カプセル(HSRC)の熱空力設計では,極超音速から亜音速までの広い気流条件下における流体現象を正確に予測し,様々な因子ばらつきに対応できるロバスト設計が不可欠であった.本研究では,流体シミュレーション(CFD)解析を,主流とRCSジェットとの熱流束・空力干渉,非定常後流中の熱防護(TPS)シェル挙動,ベンティングによる内外差圧・内部入熱特性,及び高空落下試験に対する横風クライテリア設定などの広い熱空力設計問題に対して適用し,ロバスト設計をおこなった.HTV7/HSRCミッションの概要と成果,構築した設計評価法と得られた設計知見について示した.更に,提案した改良設計の有効性を飛行後評価の結果により示した.