2021 年 69 巻 11 号 p. 323-329
宇宙航空研究開発機構の航空技術部門では,エコウィング技術の研究開発事業において環境性能と経済性を向上させる空力技術および構造技術の研究開発を行ってきた.本研究開発事業では,2020年代と2030年代に開発開始が想定される航空機への適用を目指し,航空機の抵抗低減や構造軽量化による燃料消費量削減およびCO2排出量低減を実現する技術と,空港騒音を低減するための設計基盤技術の研究を進めた.本研究開発事業の構造技術研究の一つとして,光ファイバひずみ計測技術開発に取り組んだ.光ファイバひずみ計測技術により,複合材製造時や機体飛行時における変形状況や荷重状況を把握可能となり,軽量化された航空機構造の信頼性向上につながるものである.本稿では,光ファイバひずみ分布センサによる航空機主翼構造モニタリング技術の飛行実証HOTALW(High performance Optical fiber senser flight Test for Airplane Wing)として実施した飛行試験の結果およびそれに対応する構造解析結果に関して報告する.