日本航空宇宙学会誌
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特集 技術試験衛星9号機(ETS-9)の開発 第3回
技術試験衛星9号機(ETS-9)国産ホールスラスタの開発
谷 義隆中原 徹也田代 洋輔神田 大樹船木 一幸深津 敦
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2024 年 72 巻 12 号 p. 425-430

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抄録

静止衛星バスにおけるミッション機器の搭載比率を増加させるため,電気推進の採用が世界的に主流となってきている.技術試験衛星9号機(ETS-9)では,そのような動向を踏まえて衛星推進系すべてに電気推進を採用した全電化衛星技術の獲得を目的としており,国内初のホールスラスタ軌道上実証のための国産ホールスラスタを開発中である.国産ホールスラスタは,最大6 kWの大推力作動が特徴である.これにより軌道遷移時間の短縮が期待されており,海外製ホールスラスタとの差別化を図っている.国産ホールスラスタの開発ステータスは,Prototype Model(PM)フェーズおよびFlight Model(FM)フェーズへ移行している.PMフェーズでは,寿命試験を除くQualification Test(QT:認定試験)レベルの各試験を完了し,現在は寿命試験を継続中である.FMフェーズでは,計画されていたAcceptance Test(AT:受入試験)レベル試験をすべて完了して衛星システムに引き渡しを行い,打ち上げに向けた準備が進められている.

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© 2024 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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