2024 年 72 巻 5 号 p. 156-162
本特集「宇宙政策・宇宙法・宇宙安全保障とは何か?」の第2回は「宇宙法とは何か?」についてである.2005年に本誌において,青木節子慶應義塾大学法科大学院教授と共著で同じ題目で宇宙法の解説を試みた.18年前と比べると,民間企業の躍進をはじめ宇宙活動の質・量ともに変化は著しく,種々のリスクも顕在化している.必然的にルール形成に対するニーズも高まっており,国内外で宇宙法規範の形成が活発化している.国や大学,専門機関や民間企業の様々な宇宙関連事業や研究開発に日常的に取り組まれている多くの会員諸兄のなかには,宇宙法は最近よく耳にするけどいまひとつ実体がつかめないと思われている方も多いと考え,今回の機会を利用して宇宙法の実体に迫っていきたい.特に宇宙法の重要性を理解するために,もし宇宙法がなかったらこの世の中はどうなっていたかを想像しつつ宇宙法の主要原則を確認し,今後の課題にも触れることとする.