日本航空宇宙学会誌
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特集 航空宇宙技術遺産第二号 第2回
戦後初の国産旅客機YS-11
長嶋 哲矢鈴木 一義
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2025 年 73 巻 2 号 p. 44-48

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抄録

YS-11は,戦後,占領軍による7年間の航空に関する活動禁止の後,日本で初めて設計,生産された与圧胴体を有する中型輸送機であるとともに,安全性についてFAA(米国連邦航空局)の型式証明を取得した旅客機である.全182機が製造され,うち76機が輸出され外貨獲得にも貢献.また初期トラブル解消後は,世界の最新鋭機と比較しても極めて高い運航率を誇る機体となり,国内旅客機としては2006年まで40年以上運航された.これらYS-11シリーズの開発経験や運用実績は,その後のC-1ジェット輸送機の試作機XC-1の開発などに活かされており,戦後の航空機産業の空白後にふたたび航空機設計の基礎技術を確立,蓄積したエポックメイキングな製品として航空宇宙技術遺産に認定された.

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