2026 年 74 巻 4 号 p. 133-136
旧東京帝国大学航空研究所(航研)の航空研究所試作長距離機(航研機)は,1938年5月15日に周回航続距離11,651.011 kmの世界記録を樹立し,国際航空連盟(FAI)によって認定された.機体開発では“長距離飛行の世界記録樹立”に的を絞った新たな技術の創出(特許)と様々な工夫(国内初)が施された.これは当時の欧米の航空機開発能力の加速度的発達に追いつこうとしていた日本においてその技術的価値は非常に高く,大戦中の優れた航空戦力と相まって日本の航空技術を世界に知らしめる特筆すべき成果と認められる.戦後の欧米の先行技術の吸収・改良を通して国産旅客機(YS-11)の開発や民間機の国際共同開発に発展し得た背景には,「航研機」で培われた経験と知見の蓄積,航研が果たした人材教育の成果があり,日本の航空宇宙技術開発の“礎”となったことは疑い無い.以上より,航空宇宙技術遺産第三号に認定された.