北関東医学
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症例報告
リネゾリドが著効した高齢者MRSA肺炎の1例
加藤 真理久田 剛志石塚 全青木 悠柳谷 典子解良 恭一宇津木 光克清水 泰生砂長 則明土橋 邦生森 昌朋桑原 英眞
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2008 年 58 巻 1 号 p. 81-86

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抄録

 症例は79歳, 男性. 咳嗽, 喀痰, 全身倦怠感などを主訴に前医を受診した. 肺炎を指摘され, 前医にてセフピロムの点滴静注を受けたが, 改善せず紹介入院となった. 入院時採取された喀痰よりMRSAが培養され, バンコマイシンなどの抗菌剤投与が行われた. しかし, 肺炎は改善せず, 人工呼吸管理を必要とし, 肝機能障害なども出現したため, リネゾリド投与を開始した. 2週間の投与で肺炎は著明に改善し, その後は再燃などもなく退院可能となった. リネゾリド投与期間中に一過性の貧血および血小板減少を認め, 赤血球輸血を必要としたが, その他の副作用は認めず, 有用であった. リネゾリドは, 高齢者においても認容性に優れた有用な抗MRSA薬であることが示唆されたが, その使用に際しては, 薬剤耐性化などの問題も考慮した上で, 適切に選択していくことが必要であると思われる.

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© 2008 北関東医学会
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