抄録
本研究の目的は, 認知症ケアのアウトカム評価票原案の使用可能性を検討し, 案の改良を行うこととした. 対象は看護学生及び看護師であり, 認知症ケアを実施した者で調査に協力を得られた67人とした. 方法は過去に受け持ったことのある認知症者の状況を振り返り, 認知症ケアのアウトカム票原案に沿って該当する番号を記入してもらった. 結果, 原案27項目の信頼性係数クロンバックα係数は0.889であった. また, 1回目と2回目のアウトカム数値調査で項目得点間の相関係数は0.662~0.969であった. 対象者からは原案について使用できるという高い回答を得た. また, アウトカム変化率を算出した結果, 最高値持続が高かったアウトカム項目は「挨拶」, であり, 改善は「楽しいことに対する表現・笑顔」,「外見の保持」であり, 維持は「入浴」, 悪化は「なじみの暮らしの継続」, 最低値持続は「役割の有無と発揮」,「金銭管理」が高い変化率であった. 無回答が多かった項目は,「サービスへの満足度」,「介護継続の意思」であり改良を行った.