北関東医学
Online ISSN : 1881-1191
Print ISSN : 1343-2826
ISSN-L : 1343-2826
症例報告
Epstein-Barr Virus陽性膿胸関連悪性リンパ腫の一例
塚本 圭今井 久雄石原 真一田村 峻太郎黒岩 陽介樋口 清一徳永 真理小林 裕幸鈴木 豊荒井 泰道
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 61 巻 3 号 p. 361-366

詳細
抄録

症例は81歳男性. 肺結核の既往あり陳旧性結核性胸膜炎との診断で近医にて経過観察されていた. 2010年12月下旬より咳嗽・胸部不快感・食欲不振が出現し, 2011年1月7日近医を受診した. 胸部単純写真にて浸潤影を認め肺炎が疑われ当院に紹介入院した. 胸腹部造影CTにて右胸腔内に巨大な空洞性病変を認め, 薄く造影される壁は不整な結節状に肥厚し内腔に液体貯留を認めた. 腫瘤は空洞壁に沿って認められ, 多発膿瘍・転移性腫瘍・悪性胸膜中皮腫・原発性肺癌などが考えられた. 組織学的検索などの精査を実施しつつ肺炎・膿胸の合併を考え抗生剤投与を施行していたが全身状態悪化にて死亡した. 死亡後, 病理解剖を施行し膿胸関連悪性リンパ腫と診断された. 組織学的には核内にEBER (EBV encoded small RNAs) 陽性所見を伴うびまん性大型B細胞性リンパ腫の所見を示しており, EBウイルスの感染を確認できたことより発症にEBウイルスが関与した典型的な一例と考えられた. 経過が長い慢性膿胸の存在する患者に胸部不快感, 肺炎様症状, 炎症反応, 胸壁腫瘤が認められる場合, 膿胸関連悪性リンパ腫の存在を念頭に入れる必要があると考えられ若干の文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2011 北関東医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top