筋萎縮性側索硬化症 (ALS) に関して我々が行ってきた神経病理学的研究の中から, Bunina小体, Golgi装置の異常, ユビキチン陽性・タウ陰性神経細胞内封入体について概説した. Bunina小体はALSに特徴的なエオジン好性の神経細胞内封入体であり, 免疫組織学的には抗シスタチンC抗体, 抗トランスフェリン抗体, 抗ペリフェリン抗体で陽性であった. Golgi装置を認識する抗体を用いた検討では, Bunina小体やTDP-43陽性封入体を有する神経細胞で高頻度にGolgi装置の微細化がみられた. 認知症を伴うALSでは, 高頻度に海馬歯状回や前頭・側頭葉皮質の小型神経細胞内にユビキチン陽性・タウ陰性封入体がみられることを初めて記載した. この封入体はTDP-43からなることが2006年に明らかとなった.