2019 年 69 巻 2 号 p. 97-104
目 的:ミクロトーム連結式パラフィンブロック固定台冷却装置による薄切時持続冷却(持続冷却)と薄切された標本の厚さ(標本厚)評価におけるデジタル画像解析(DIA)の有用性を検討した.
方 法:魚肉ソーセージのホルマリン固定パラフィン包埋ブロックを持続冷却し薄切した場合と保冷剤での事前冷却後薄切した場合(保冷剤冷却)について,エオシン染色後DIAでエオシン陽性面積率を比較検討した.
結 果:設定値2~8μmで薄切した時の陽性面積率は対数曲線を示し,高い相関係数(R2>0.93)を示したため検量線として用いた.次に3μmの設定値で3名が各20枚薄切した平均値を比較すると,持続冷却は4μm以下,保冷剤冷却では6μm以上であった.
結 論:DIA技術を用いると標本厚の推定が可能であり,保冷剤冷却ではブロックの膨張で設定値の約2倍の厚みの標本が作製されている可能性が示された.