北関東医学
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症例報告
キョウチクトウ大量摂取の1例
神戸 将彦中島 潤村田 将人澤田 悠輔一色 雄太市川 優美矢嶋 尚生福島 一憲荒巻 裕斗河野 慧沼崎 あゆみ森 瑞樹大嶋 清宏
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2020 年 70 巻 4 号 p. 359-362

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抄録

 症例は30歳代,女性.自傷目的にキョウチクトウの葉12枚を摂取し,増悪する嘔気のため摂取19時間後に当院へ救急搬送された.来院時,傾眠,四肢脱力および振戦がみられ,心拍数50/分の洞性徐脈だったが,それ以外は安定しており,血清カリウム値も4.1 mEq/lと正常範囲だった.救急外来で活性炭と緩下剤を投与し,経過観察目的に同日集中治療室(ICU)入院とした.ICU入室後の全身状態は安定しており,第2病日に一般病棟へ退室した.その後の経過も良好で第5病日に退院した.

 キョウチクトウは公園や街路樹などに広く利用されているが,全木にオレアンドリン等の強心配糖体を含むため有毒である.国内でのキョウチクトウ中毒の報告は極めて稀だが,重症化し死亡に至る場合もあるので,早期からの中毒物質同定および積極的な治療介入が重要である.

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© © 2020, 北関東医学会
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