北関東医学
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症例報告
中心静脈カテーテル挿入に関連するヘパリン投与が契機となった開心術後のヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の1例
村田 美幸津田 泰利茂原 淳小谷野 哲也高橋 徹内山 俊正
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2021 年 71 巻 4 号 p. 307-310

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抄録

 症例は85歳女性.突然の胸背部痛を主訴に救急搬送され,解離性大動脈瘤と診断し,保存的加療を行った.入院直後に内頚静脈から中心静脈カテーテル(central venous catheter: CVC)を挿入した際に,ヘパリン加生理食塩水(ヘパリン生食)をルート内にフラッシュした.第5病日に再解離したため,緊急上行大動脈置換術を行った.ところが,術後3日目に左片麻痺が出現し,CT検査で広範脳梗塞を認めた.術後4日目には,血小板が顕著に減少し,ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia: HIT)を疑った.精密検査でHITと診断し,アルガトロバンの投与を開始し,新しい塞栓は認めなかった.第49病日,リハビリ病院へ転院した.ヘパリン暴露から血小板減少までの期間を考えると,CVC挿入によるヘパリンフラッシュがHITの契機となったと考えられた.

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© © 2021, 北関東医学会
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