2023 年 73 巻 4 号 p. 309-312
A氏は40歳代女性,看護職.実母・夫・子どもの5人暮らし.診断から10+X年経過.第二子出産直後にがんと診断され,手術・化学療法にて寛解を維持している.診断後喪失に苦悩しながら,長期の入院中に同病者を支えた.退院後患者が語り合うことができる,他者の体験を聴き自己内省を得ることができる,何かを残したいという思いから患者会を設立した.現在はがんサバイバー,医療者として生活していく中で,がん患者を取り巻く様々な問題に葛藤しながら,政策提言に参加し活動している.さらにがん罹患に関わらず,すべての人々がその人らしく生きていくことができる地域共生社会の実現を目指している.A氏ががん罹患による危機を脱却し,他者へ意識を向ける生成継承性へと拡張していく生き方は,他のがんサバイバーや医療者に新たな気づきを与えると考えたため報告する.