北関東医学
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過去7年間におけるDiabetic Foot例の臨床的検討
病態, プロスタグランディン E1製剤による治療効果および予後について
中村 保子小林 功
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1992 年 42 巻 4 号 p. 379-385

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抄録

1983年から1990年の7年間に9例のDiabetic Foot (壊疽1例, 潰瘍8例) を経験した.入院糖尿病患者における発生頻度は0.53%であるが, 過去3年間に対象をしぼると0.95%で増加傾向が認められた.発症年齢は平均59歳, 糖尿病罹病期間は平均7.6年であった.入院時平均HbA1C値は11.9%と入院前血糖コントロールは不良であったがHbA1C値9.0%以下の血糖コントロール域内にある症例が4例あり, うち2例は糖尿病性水泡例であった.このことから必ずしも高血糖に引き続き糖尿病性壊疽や潰瘍が発症するとは限らないと思われる.動脈硬化性背景としては血清脂質値には著しい変化を認めないが, 心電図上虚血性変化ないし不整脈は5例に, 高血圧は4例に認められた.全例下肢に病変を認め足指, 足掌, 外顆に好発した.検出菌ではStaphylococcus aureusが高頻度に培養され最近例ではMRSA菌が検出されている. 高頻度に糖尿病性トリオパチー合併が認められたが特に神経障害は全例に認められDiaebetic Foot成立への関与が注目される.プロスタグランディン E1製剤を使用した保存療法では77.8%の治癒を得, 有効であった.しかし虚血性壊疽症例では無効であった.9例のうち1991年1月現在4例が死亡しており生存率は55.6%で, 生命予後は不良であった.いずれも発生から5年以内に死亡しており, 4例中3例は再発例であった.心不全, 敗血症, 悪性腫瘍で死亡している.

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