北関東医学
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貧血にエリスロポエチン投与が奏効した無輸血冠動脈バイパス手術の2治験例
小西 敏雄大林 民幸金子 達夫大木 俊英大和 保昌斉藤 祐二内藤 滋人大島 茂湯浅 和男田中 照彦
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1992 年 42 巻 4 号 p. 395-399

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抄録

貧血状態の狭心症2例に冠動脈バイパス手術を行った.そのさい, 術前よりエリスロポエチンを投与したところ貧血が改善し, 自己血液さえも貯血可能となった.2例とも手術に伴う輸血 (同種血) を必要とせず, 無事退院となった.貧血の原因は, 1例では骨髄低形成によるものであったが, エリスロポエチンが奏功したことは注目に値した.尚, 投与中には有害な副作用は認められなかった.
心臓外科手術でも輸血を回避できる場合が日常的となりつつあるが, 貧血例では有効な手段がなかった.エリスロポエチン製剤の登場により, これら貧血を伴う症例にも輸血回避の道が開かれたことは意義深い.

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