北関東医学
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膵頭十二指腸切除における膵管空腸吻合の工夫
大和田 進中村 正治棚橋 美文川島 吉之綿貫 文夫竹吉 泉宮本 幸男森下 靖雄
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1993 年 43 巻 1 号 p. 63-68

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抄録
著者らは, 膵頭十二指腸切除後の消化管再建法として, 術後の消化吸収などを考慮し今永法 (Billroth I) を行なっている.今永法は食物の通過が生理的である反面, 縫合不全や膵液瘻は消化液が活性化されるためより重篤な合併症の危険がある.そこで, 著者らは膵管拡張のない柔らかい膵臓にも膵管空腸吻合が行える工夫をし, 良好な結果を得たので, その手術手技と成績について述べる.
その要点はatraumatic needle吸収性Polyglyconateによる膵管膵実質と空腸粘膜の連続縫合 (膵管空腸粘膜吻合) と非吸収性モノフィラメント糸による膵実質と空腸漿膜筋層の結節縫合 (膵空腸漿膜筋層吻合) の2列縫合, 及び膵空腸漿膜筋層吻合部のフィブリン糊接着縫合と細目の膵管チューブによる膵液の不完全体外誘導である.
6例の膵頭十二指腸切除後の今永法再建に, この膵管空腸吻合を行った.膵管径2.0mm以下の2例を含め膵液瘻の合併を1例も経験せず, 有効な膵管空腸吻合法であると考える.
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