北関東医学
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完全型縦隔内甲状腺腫を合併した小型進行肺癌の1手術例
津田 京一郎川邊 昌道石田 常博大木 聡飯島 耕太郎三ツ木 禎尚村上 淳柿沼 臣一草場 輝雄
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1994 年 44 巻 3 号 p. 309-316

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抄録

症例は66歳, 女性.健診で胸部異常陰影を指摘され, 縦隔腫瘍の疑いで当科入院となった.胸部X線写真では右第1弓の著明な突出と左肺門部に腫瘤影を認めた.胸部CT, MRIでは縦隔及び左肺門リンパ節の著明な腫大が認められ, その一部は右頚部にまで及んでいた.また胸部CTで左下葉に胸膜嵌入を伴う径5mmの結節陰影を認めたが, 肺癌の確診は得られなかった.当初悪性リンパ腫を疑ったが, Gaシンチで集積なく, CEA高値のため, 診断目的で右頚部リンパ節生検を行った。病理所見は大小の濾胞形成からなる甲状腺腫であった.次に右開胸で縦隔郭清を行ったところ, 病理所見は腺癌のリンパ節転移であった.左下葉肺癌の縦隔転移と診断し, 左下葉切除郭清を行い確診を得た.最終診断は完全型縦隔内甲状腺腫を合併した小型進行肺癌 (III B期) とした.CEA高値を示す縦隔腫瘍では, 小型進行癌も鑑別診断に加え検査を進めることが必要と思われる.

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