北関東医学
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経皮的大脳皮質電気刺激時における随意収縮による促通効果の機序
米山 裕
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1994 年 44 巻 5 号 p. 503-512

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抄録

ヒトの大脳皮質運動野を経皮的に電気刺激すると, 四肢筋から誘発筋電図 (MEP) が記録される.この際, 同時に被験筋を軽度に随意収縮すると, MEPの振幅は増大し, その潜時は短縮する.この随意収縮のMEPに及ぼす促通効果の生理学的機序については十分に解明されていない.本研究はその一端を解明することを目的とした.正常者を対象に, 安静時および軽度の随意収縮下で高電圧電気刺激装置を用いて大脳皮質運動野を刺激し, 小指球筋からMEPを導出した場合, 上記の促通効果が確認された.一方, 頸部脊髄を電気刺激し下肢の前脛骨筋からMEPを導出した場合では, 随意収縮は大脳皮質刺激の場合と同じくMEPの振幅を増大したが, 潜時を短縮しなかった.従って, 大脳皮質刺激あるいは, 頸髄刺激に随意収縮を組み合わせた場合, それぞれの反応機序は異なるものと推定された.すなわち, 振幅に対する促通効果は脊髄運動ニューロンの興奮性の増大に起因するが, 潜時の短縮化については, 脊髄運動ニューロンの閾値の低下と大脳皮質刺激時に生じるとされる多発性の下行性斉射に起因するものと考えられる.

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