北関東医学
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副腎動脈に対する無水エタノール塞栓術が有効であった原発性アルドステロン症の 1 例
熊倉 久夫市川 秀一丹下 正一高山 嘉朗角野 博之大山 良雄酒巻 哲夫織内 昇竹内 秀夫金沢 紀雄佐々木 豊志
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1994 年 44 巻 6 号 p. 659-666

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抄録

症例は 47歳, 男性. S56年より高血圧あり. S61年より原発性アルドステロン症の診断にて投薬治療を受けていた.副腎動脈造影では, 下副腎動脈から腫瘍濃染を示す直径 1cm の腺腫が確認された.トラッカーカテーテルを用いて超選択的に腫瘍血管を造影した後に, 無水エタノール 0.5ml を動注した.腫瘍血管は閉塞し, 内部に造影剤が注入された状態で腫瘍部は固定された.術後血圧および血中アルドステロン値は正常化し, 3カ月を経過しても上昇していない. 副作用としては術直後の酩酊感と 3日間の微熱のみで, 腹痛等の重篤な合併症は認められなかった.
副腎腺腫動脈の無水エタノール塞栓術は原発性アルドステロン症に対する極めて有効かつ安全な新しい治療法となる可能性が高い.

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