1994 年 44 巻 6 号 p. 653-658
新潟県阿賀野川流域を旅行し, 10 日後ツツガムシ病を発症した 54 歳男性の一剖検例を報告した.全身倦怠感, 発熱, 発疹を主訴として発病, 血清抗体検査よりツツガムシ病と診断され, ミノマイシン投与により解熱, 炎症反応の消退を認めたが, 黄疸, 貧血が進行し, 2カ月の経過で死亡した.右大腿部に刺し口が確認され, 全身に炎症性肉芽腫性病変と血管炎があり, さらに肝細胞変性が見られた.病原体であるリケッチャは組織学的に証明できなかった.全身性に巨細胞封入体症があり, 免疫組織学的および電顕的にサイトメガロウィルスの混合感染が証明された.