北関東医学
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筋ジストロフィーにおけるジストロフィン結合タンパク質の研究
水野 裕司
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1995 年 45 巻 1 号 p. 73-81

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抄録
ジストロフィン結合糖タンパク質は, 生化学的に二つのグループに分けられた.一つは156DAGと43DAGよりなるジストログリカン複合体で, もうひとつは50DAG, A 3b, 35DAGよりなるサルコグリカン複合体である.43DAGは調べたすべての組織に存在したが, 50DAGは骨格筋と心筋にのみ存在し, 両複合体の組織分布が異なっていることが示唆された.ジストロフィンの欠損しているDuchenne型筋ジストロフィー (DMD) の筋では, 43DAGに比べ50DAG, A 3b, 35DAGが激減していた.また, ジストロフィンは存在するが, DMD様症状を呈するsevere childhood autosomal recessive muscular dystrophyの筋では, 43DAGは明らかに発現していたが, 50DAG, A 3b, 35DAGは激減していた.組織分布が異なったこと, 疾患筋組織における発現様式が異なったことより, 二つの複合体は異なる機能を果たしていることが示唆された.また, 筋細胞の変性壊死と密接な関係にあるのはサルコグリカン複合体の欠損であると考えられた.
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