抄録
雑種成犬の内側半月を用い半月無血行野の部分切除後の半月再生能を膝関節固定一非荷重群と対照群問で, 肉眼的, 組織学的に比較検討した.術後1週から13カ月までの観察で, 固定一非荷重群は29半月中27半月 (93.1%) に, 対照群は29半月中21半月 (72.4%) に半月再生部を認めた.肉眼的には, 術後3週までの赤褐色調の再生部組織は, 4週以降では半透明様を呈した.組織学的には3週までは組織中の細胞成分が多く, 紡錘形の線維芽細胞を認めた.4週以降では細胞成分は漸減し12週の細胞は円形に近く, 細胞周囲に小腔を有する線維軟骨様細胞を認めた.13カ月後の細胞の電子顕微鏡所見では, 細胞表面の短突起, territorial matrixを有する線維軟骨細胞を認めた。半月再生は1つは切除端への滑膜の浸潤, 1つは凝血付着に始まり, 無血行野においても再生組織は真の半月組織に成り得ると考えられた.術後初期の関節固定, 非荷重条件は再生組織の保護の意味で有利であると考えられた.