北関東医学
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高血糖状態からの血糖コントロール中に低血糖性昏睡類似の脳障害を示した糖尿病の一例
根岸 真由美清水 弘行上原 豊佐藤 則之下村 洋之助森 昌朋
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1998 年 48 巻 6 号 p. 475-479

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抄録
症例は31歳, 女性.長期間放置の後に平成9年6月, 高血糖状態にて入院.単純性糖尿病性網膜症を伴っていたが, 神経障害は明らかではなかった.入院後, 一日尿中C-ペプチド排泄の減少も認められ, インスリン療法が導入された.約2ケ月間に空腹時血糖を403mg/dlより156mg/dlにまで徐々に改善された.経過中, 自覚的にも血糖検査上からも明らかな低血糖状態は認められなかったが, 8月中旬より意識障害が出現, 脳MRI検査にて両後頭葉から側頭葉にかけて皮質下に広範囲な高信号領域を認め, 低血糖性昏睡類似の変化と考えられた.その後若干の意識状態の改善が一時的に認められるも脳MRI検査上同様の所見の継続が認められるとともに更なる意識障害の進行を認め, 敗血症にて死亡した.高血糖状態からの血糖コントロール中に意識障害の出現を認め, 脳MRI検査上低血糖性昏睡類似の不可逆性脳障害を呈した糖尿病症例を報告した.
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