2000 年 50 巻 4 号 p. 355-358
1993-1997年に当院に入院し急性期を脱して病状の安定した脳血管障害による片麻痺患者28例 (65.9±10.2歳;脳梗塞19例, 脳出血9例) の両側前腕の皮膚表面pH (spH) を測定し, 片麻痺レベルと比較検討した.片麻痺の強い症例では軽い症例に比して, 麻痺側と健側のspHの差は有意に大きく, また麻痺側, 健側ともにspHは大きくなった.片麻痺では血管運動神経障害や自律神経障害による発汗障害, 血管希薄化や表皮・角質の萎縮による皮膚緩衝系の障害が推定され, これらの影響を強く受けるspHにより客観的な数値による片麻レベルの評価が可能であることが示唆された.