北関東医学
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松果体部 Germinoma の長期予後
大谷 敏幸石内 勝吾栗原 秀行長谷川 正俊田村 勝斉藤 延人
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2003 年 53 巻 3 号 p. 239-242

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抄録

【背景・目的】当院での松果体部 germinoma に対する治療は, 約50Gyの放射線療法を主体として行われてきた.その長期予後について検討した.【対象と方法】1980~1998年までに松果体部 germinomaと診断し, 治療後5年以上経過観察しえた10例 (治療時年齢8~24歳, 男性9人, 女性1人, 10例中 double midlineは 2例) を対象とした.【結果】20Gyの時点において全例で腫瘍は著明に縮小した.平均経過観察期間162ヶ月 (期間, 59~268ヶ月) で, 50Gyの放射線療法を主体とした治療により再発はなく, 長期的な予後は良好であった.内分泌学的に補償を要したのはdoublemidlineの1例のみであった.放射線治療後, 新たに内分泌学的補償を要した例は認められなかった.Karnofsky performance scaleは8例が100で生活上問題は認められなかった.2例でKarnofsky performance scaleが80と低下し就労が困難であった.【結語】松果体部 ger-minomaは50Gyの放射線療法で長期にコントロールされた.しかしわずかながら記銘力障害や集中力の低下などの障害を来す可能性が示唆された.従ってquality of lifeを考慮すると, 化学療法の併用等を行う事で照射線量を減らし, かつ治療成績を維持することが今後の課題と考えられた.

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