60年に近い歴史をもつ,レーヨン工業の発展過程を回顧し,紡糸浴組成の変遷,また紡糸浴組成が糸条形成過程に及ぼす影響,ならびに繊維性能との関連を説明し,従来のレーヨン糸の改質に低酸単浴紡糸法が検討に値することを提案した。従来,低酸単浴紡糸法はレーヨン・ステープルに採用されていたが,レーヨン糸に適用する際の問題点,さらにそれの解決の経過にふれ,帝人における企業化の経緯を説明した。また,そのようにして企業化された改質レーヨン糸が従来のレーヨン糸と比較して,寸法安定性にすぐれ,シルキーな性格をもっている事実を示した。