高分子
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制電性(帯電防止)ナイロンの開発
岡崎 薫
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1972 年 21 巻 8 号 p. 403-410

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抄録
ナイロンに制電性(帯電防止性)を付与することは, ナイロン出現以来強く望まれていた。しかし次の(1)(2)(3)の問題があり, 目的達成は困難であった。(1)静電気発生原因が明確でなく,制電性対策として何がよいか見通しがつきにくい。(2)制電性を付与しても,制電性以外の性質挙動などは普通ナイロンと全く同じであること(繊維の場合特に重要) 。(3)制電性能は永久であること。
さて世界各国で永久制電性ナイロンの研究は進められたが成功しなかった。昭和41年,東レが世界で初めて制電性ナイロンを発表した。これはナイロンL(ナイロンパレル)と呼ばれ,大量生産可能な永久制電性ナイロンである。その技術は合成段階でナイロンを物理化学的に改質し, 制電性ナイロンとしたものである。その比抵抗(制電性の尺度) は約108・Ω・cmであり,一方普通ナイロンは約1013Ω・cmである。制電性以外の性質挙動は普通ナイロンと同じである。現在500t/月の生産量がある。
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