家庭用電気機器に用いられる高分子材料の現状について概説する。高分子材料は,まず電気絶縁材料として家電機器に導入され,プラスチックの発達とともに外装材料や構造材料として家電産業の発展に大きく貢献した。近年,高分子材料のもっている特異な物性が注目され,家電機器の機能材料として利用されるようになった。プラスチックサーミスタは電気毛布の感温材に,エレクトレットはマイク,ヘッドホーン,ピックアップに,吸湿性高分子は空調用湿度センサにそれぞれ実用化されている。高分子の圧電性が注目され材料開発が進んでいる。導電材料としての利用も盛んになり,抵抗体や印刷配線に利用されている。導電性ゴムは電卓用キーボードスイッチに採用されつつある。イオン透過性高分子は電池用セパレータとして重要である。今後,付加価値の高い形での高分子の利用が注目される。