日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2003年度年会
セッションID: K1-10
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CaSiO3-CaTiO3系の高圧相関係とペロブスカイト相のX線その場観察
*泉 宏之藤野 清志小森 豊久Das Kaushik富岡 尚敬大西 市朗久保 敦桂 智男伊藤 英司
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キーワード: ペロブスカイト, CaSiO3
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抄録
1. はじめに
 CaSiO3は高温高圧下で立方晶または擬似立方晶ペロブスカイト構造をとり,実際に下部マントルの主要な構成鉱物と考えられている.一方,CaTiO3は高温高圧から常温常圧にいたる広い範囲でおおむね斜方晶ペロブスカイト構造をとり,しばしばMgSiO3ペロブスカイトのアナログ物質として用いられている.今回,下部マントルにおけるCaSiO3ペロブスカイトの陽イオン置換や構造変化を考える一環として,CaSiO3-CaTiO3系についてマルチアンビルセルとレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル(DAC)による高温高圧実験と放射光X線回折および分析電顕による試料の観察を行ったので,その結果について報告する.
2. 実験
 マルチアンビルセル実験は,岡山大学固体地球研究センターにおいて,CaSiO3-CaTiO3系のガラスと一部結晶の混合物を出発物質に用いて,5.7-13.2GPa,1773Kで行った.また,レーザー加熱DAC実験は,北大の当研究室でガラスを出発物質に用い,YLFレーザーによる両面加熱で約30GPa,1800Kで行った.
 マルチアンビルによる高圧合成実験の生成物は,高エネルギー研での放射光X線回折と当研究室の微小部X線回折および分析電顕で調べ,レーザー加熱DACによる生成物はスプリング8での放射光X線回折で調べた.分析電顕の薄膜作成には,イオン研磨のほか,ウルトラミクロトーム法も用いた.
3.結果と考察
 マルチアンビルセル実験の生成物の解析からは, Kuboら(1997)の温度1473Kにおける相平衡図に似た結果が得られ,この領域における相関係には温度による依存があまりないことが確認できた.1773Kでは12.5GPa以上ではCaSiO3-CaTiO3系の全域でペロブスカイト相のみの存在が確認された.常圧への回収試料の電子線回折パターンから,CaTiO3からCaSiO3が約40モル%までは斜方晶(Pbnm)ペロブスカイトのパターンが,またCaSiO3が約40モル%から65モル%まではCaSiO3立方晶ペロブスカイトの約2倍の格子定数を持つダブルペロブスカイト構造(Fm3m)で指数付けはできるが面心格子の消滅則を破るパターンが見られた.これら,面心格子より低対称のパターンにはいくつかタイプが見られたが,それらのタイプと組成の間には特に相関は見られなかった.また,65モル%よりCaSiO3よりでは,回収試料は非晶質であった.またこの系で組成の異なるペロブスカイトの2相共存領域は見出されなかった.
 一方,レーザー加熱DAC実験からは,放射光による高温高圧その場X線回折で,中間組成領域ですべて偶数かすべて奇数の反射のみからなる面心格子のダブルペロブスカイト構造が認められた.しかし同試料を室温にさげると奇数と偶数の混じった反射を示すようになった.このことから,この系の中間組成領域には高温高圧下で面心立方格子のダブルペロブスカイト構造が存在するが,この構造は室温に急冷される過程でSiとTiの秩序化が起き,より低対称の単純立方格子に変わってしまうことが推察される.常温高圧下におけるX線回折ピークからは,CaSiO3が90モル%までダブルペロブスカイト相のピークが確認できた.
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© 2003 日本鉱物科学会
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