日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2003年度年会
セッションID: K1-09
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MgSiO3ペロブスカイトへのFeとAlの固溶
*藤野 清志小川 久征泉 宏之Das Kaushik富岡 尚敬大西 市朗
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抄録
1.はじめに
 下部マントルの主要な構成鉱物と考えられている(Mg,Fe)-ペロブスカイトとCa-ペロブスカイトでは,マントルの化学組成によりさまざまの陽イオンの置換が起こりうる.それらの置換とそれに伴う構造変化は,下部マントルの鉱物組成と物性に大きな影響を及ぼす.特にMgSiO3ペロブスカイトへのFeとAlの固溶は重要であるが,それらの固溶の程度や両者の相関関係にはまだ不明な点が多い.今回(Mg,Fe)SiO3-Al2O3系を用いたレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル(DAC)実験で,MgSiO3ペロブスカイト相へのFeとAlの固溶について調べたので報告する.
2.実験
 Fe/(Mg+Fe)モル比を0.2 に保った(Mg,Fe)SiO3に,Al2O3を0, 5, 25, 50モルパーセント混ぜた(Mg,Fe)SiO3-Al2O3系のゲルを出発物質に用いて,30-60 GPa,1800-2000 Kの条件でYLFレーザーによる両面加熱DAC実験を行った.Fe/(Mg+Fe)モル比を0.2 に保ったのは,上記実験条件でペロブスカイト相中に常に限界のFe量が固溶するようにしたためである.実験試料については,放射光X線による高圧その場観察と常温常圧回収試料の観察,並びに分析電顕による回収試料の観察を行った.
3.結果と考察
 放射光X線と分析電顕による解析の結果,Al2O3の割合により生成相は以下のように変化した.Al2O3が0および5 モルパーセントでは,ペロブスカイトとマグネシオウスタイトおよびスティショバイトの3相が共存し,Al2O3が25 および50 モルパーセントではそれらの共存相に加えてコランダムがさらに加わった.分析電顕による組成分析の結果,これらのペロブスカイト相では,ペロブスカイト中のAl が増えるに従ってFe も増えていったが,その増加の割合はAl量が少ない間は小さく,Al量がある程度増えてくるとFeの増加の割合も増大する傾向が示された.また,Al量がゼロの場合を除いて,ペロブスカイト相と共存する金属鉄が確認された.これらのことは,ペロブスカイト中でAl量が少ない間は,Mg2+ + Si4+ → 2Al3+ の置換が卓越し,Al量がある程度増えてくると,Mg2+ + Si4+ → Fe3+ + Al3+ の置換が増加して,ペロブスカイト中にFeAlO3と言う端成分が生成されたことを示唆する.このことから,下部マントルのAl に富む環境では,(Mg,Fe)SiO3ペロブスカイトは相対的にFe に富み,その一部はFe3+ と考えられる.
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© 2003 日本鉱物科学会
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