日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2003年度年会
セッションID: K8-05
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Baddeleyite,zirconolite,caizirtiteおよびCeリン酸塩鉱物の新しい産状
*西尾 大輔皆川 鉄雄
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抄録
baddeleyite,zirconolite,caizirtiteはこれらが共存する形では通常カーボナタイト中に多く認められ,天然サンプルにおいては海外で研究が盛んに行われており,zirconoliteは通常メタミクト化していることが知られる(例えばWilliams and Giere', 1996; Giere' et al., 1998; Bellatreccia et al., 1999)。また,zirconoliteはREEやアクチニドを種類・量ともに大きな幅で固溶できることから高レベル放射性廃棄物の処理に合成実験学的手法で広く応用されている(例えばMalmstro"m, 2000)。これらZr鉱物は,天然の観察や合成実験においてもSiO2に不飽和な環境で出現するため(例えばVlasov, 1966; Malmstro"m, 2000),そのような条件の岩石が少ない日本では,これらZr鉱物の産出は非常にまれで,岩手県根市鉱山でbaddeleyiteとzirconolite(Kato and Matsubara, 1991)が岡山県布賀鉱山でbaddeleyiteとcaizirtite(Henmi et al., 1996)が記載されるのみである。今回,baddeleyiteが弓削島,小大下島,桑尾から,zirconoliteが弓削島,明神島,小大下島,睦月島,新木浦鉱山から,calzirtiteとCeリン酸塩鉱物が小大下島から見いだされた。zirconoliteとcaizirtiteはそれぞれいくつかのポリタイプが報告されており,zirconoliteにはzirconolite-2M, 3T, 3Oと等軸晶系のzirkeliteが天然のサンプルで報告されており(例えばBayliss et al., 1989),その他に-4M, -6Tが合成実験から報告されている(Coelho et al., 1997)。また,caizirtiteもcalzirtite-1O, 1Qが報告されている(Callegari et al., 1997)。そのため,組成がそれぞれCaZrTi2O7,Ca2Zr5Ti2O16で,結晶系が明らかでないものに対し,zirconolite, calzirtiteの名称が使用される。産状:弓削島,明神島,小大下島,睦月島では石灰岩に暗黒色のAl, Fe, Tiに富む岩石が胚胎されている。また,高知県桑尾でもピソライト構造を示し組成が同様でほぼ非変成の暗色岩が,大分県新木浦鉱山でも同様の組成の暗色岩が石灰岩中に胚胎されている。これら暗色岩で新木浦鉱山と小大下島産のものはエメリーに相当し(吉村ほか,1962; 宮久ほか,1976),他地域の暗色岩もエメリーに近似した組成を持っている。これら暗色岩にはチタン鉄鉱,灰チタン石,チタン石,鋭錐石などのTi鉱物が主要構成鉱物として特徴づけられ,各Zr鉱物は各地域でTi鉱物を密接に伴う。また,Ceリン酸塩鉱物は小大下島で極少量が暗色岩中に見いだされる。それぞれの地域でbaddeleyite,zirconolite,calzirtiteは通常それぞれ最大5um,50um,20um程度である。また,Ceリン酸塩鉱物は10umを超えない。化学組成:小大下島と桑尾のbaddeleyiteは少量のFe, Tiを持っている。zirconoliteは30以上の元素を置換できることで知られ(Giere et al., 1998),他地域のものは化学的変化に富んでおり,本調査地域のものは地域ごとにやや組成的変化に富んでいるが端成分に近い。calzirtiteは化学的変化が小さいことが一般的で,小大下島のcaizirtiteもほとんど端成分に近い。また,Ceリン酸塩はwt%がtotalで常に不足し,90-93wt%程度である。wt%の不足分をH2Oと見なすとこの鉱物はrhabdophane-(Ce)の組成となる。
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© 2003 日本鉱物科学会
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