抄録
福島県石川山花崗岩ペグマタイト産の鉄コルンブ石の波状累帯構造やパッチ状構造について、化学組成ごとに単結晶をえぐり出して結晶構造解析を行い、鉄コルンブ石とイキシオライトにおける鉱物組織と化学組成の関係を解明した。反射電子像から、鉄コルンブ石には波状累帯構造が観察され、EPMAの結果、暗相はXMnが0.320、XTaが0.213で、明相はXMnが0.337、XTaが0.381であり、明相は暗相よりもTaに富む。単結晶構造解析の結果、明相、暗相ともに鉄コルンブ石であった。横軸にXMn、縦軸にXTaをとった図 (Černý, 1989) では、コルンブ石はXTaが0.4よりも小さく、イキシオライトはXTaが0.4よりも大きい傾向が見られた。従って、XTaが0.4よりも大きいとイキシオライトが、0.4よりも小さいと鉄コルンブ石が化学組成に応じて結晶化すると考えられる。